
令和5年12月7日 一般質問

1. 県管理道路の除草に関する取組みの現状や、住民の要望に応えていくための今後の方針はどうか。
【除草重視ではなく、雑草が生えない、生えにくい環境整備へ】
Q. 除草や剪定の相談をしてくる方からは、これまで個人で除草していたが高齢化により思うように除草できなくなったなどの声を聞く。今後更に少子高齢化と人口減少が進んだ場合、これまでのような行政サービスを保てなくなる可能性があり、地域住民の力を借りなければ解決が難しい状況にある。また、除草重視ではなく、雑草が生えない、生えにくい環境整備へと転換していくことも今後の課題となってくるのではないかと思う。

雑草の発生を抑える防草シート等の施工を進め、作業の更なる効率化を図る
A. 【土木部長】
今後は、地域の高齢化や人口減少が進行する中でも、除草作業の自治会委託の維持に向けて、市町の広報誌の活用や県内各所でのパネル展等の実施により、積極的な広報活動に努めるとともに、雑草の発生を抑える防草シート等の施工を進め、作業の更なる効率化を図るなど、引き続き、住民からの要望に応えていけるよう、安全で快適な道路空間の確保に取り組んでまいりたい。
2.児童虐待の防止にどう取り組んでいるのか。
【育児不安を抱えながらもSOSが出せない 子育ての孤立を防ぐ取組みを】
Q. 全国の児童相談所での昨年度の虐待相談件数は速報値で21万9,170件と過去最多となった。虐待の多くの原因は、核家族化や地域のつながりの希薄化が進む中で孤立し、育児不 安を抱えながらもSOSが出せない状況があるためと言われており、親が抱えたストレスのはけ口が弱い立場の子どもに向かうなど状況は更に深刻になっている。経済的な困窮や予期せぬ妊娠・出産、複雑な家庭環境なども虐待の要因であり、子育ての孤立を防ぐ取組みが急がれる。
全国共通ダイヤル189「いちはやく」を通じた虐待疑いの速やかな情報提供の県民への呼びかけ
産後ケアや未就園児の一時預かり事業の拡充メニューを盛り込み、支援の充実
A. 【中村知事】
子育てに困難を抱える家庭の増加が顕著となっており、虐待を見逃さない県民意識の醸成や、妊娠期から出産・子育てまで切れ目のない支援が重要と認識している。このため県では、SNS広告やポスターなど多様な媒体を活用し、児童虐待に対する問題意識の啓発や、全国共通ダイヤル189「いちはやく」を通じた虐待疑い事案の速やかな情報提供を県民に向け強く呼びかけている。
今年度からえひめ人口減少対 策総合交付金に、産後ケアや未就園児の一時預かり事業の拡充メニューを盛り込み、乳幼児を持つ親への支援の充実を図っている。
3.社会的養護経験者「ケアリーバー」が抱える不安や困難をどう認識し、今後どう支援していくのか。
【孤立することなく新生活を送っていくことができるよう継続的な支援を】
Q. 国が一昨年4月に公表した初のケアリーバーの全国実態調査では、暮らしで困っていることとして「生活費や学費」が33.6%と最多を占めたほか、5人に1人が収入より支出が多い赤字生活であり経済的な理由で進学を断念したり中退したりするケースも多いなどの窮状が明らかとなった。
本県でも、児童養護施設や里親を離れた後、親を頼れない子どもが、困窮したり不安を抱えたりして孤立することなく新生活を送っていくことができるよう継続的な支援を行って欲しい。

ニーズに応じたきめ細かな支援が不可欠
自立支援専任職員の配置を支援
A.中村知事
令和3年度に民間団体が実施した県内の児童養護施設退所者を対象とした調査によると、92名の回答者のうち、約6割が人間関係や生活困窮など多岐にわたる問題に直面した経験を有しており、家庭問題等を背景に親や親族のサポートが受けられない場合も多いため、不安や困難を抱えるケアリーバーが自立し安定した生活を送れるよう、ニーズに応じたきめ細かな支援が不可欠と認識している。
このため県では、ケアリーバーが入居できる自立援助ホームでの生活指導や就業支援のほか、一定の要件を満たすことで返還免除が可能な生活資金の貸与や身元保証料の負担等の経済的支援に加え、児童養護施設等における退所後の相談支援体制の強化に向け、自立支援専任職員の配置を支援するとともに、昨年度から新たに当該職員等を対象とした専門研修を開始したところ。

4.若い世代の薬物の乱用防止について、行き場のない子どもたちの居場所作りも含めた本県の取組みはどうか。
【若者がオーバードーズに至ってしまう背景に目を向けて、居場所作りなどの支援を】
Q. 現在、首都圏の若い世代を中心にせき止めや解熱鎮痛剤といった市販薬を大量に服用する「オーバードーズ」が広がっている。若い世代の情報拡散は非常に早く、いつ本県でも同じような状況になるか分からないと思う。若者がオーバードーズに至ってしまう背景に目を向けて、家に帰れない、帰りたくないといった悩みを抱える子どもへの居場所作りなどの支援も重要であると思う。
保健所や心と体の健康センターに薬物相談窓口を設置
(保健福祉部長)
A.薬物の乱用は、精神状態の異常や内臓障害等を引き起こし、特に若年層は成長過程にあるためその影響は甚大で、薬物乱用防止に向けた対策が重要であるが、全国的に若年層による大麻の乱用が増加するほか、県内でも、子どもたちが市販薬を過剰摂取する事例があると認識している。
このため県では、ドラッグストア等に対して乱用等のおそれのある成分を含む医薬品の販売制限を徹底するよう立入検査等を通じて指導するとともに、若年層に対し、小・中学校や高校、大学等の薬物乱用防止教室等の機会を通じて、市販薬の過剰摂取についても薬物の乱用に当たることなどの啓発を行っているほか、保健所や心と体の健康センターに薬物相談窓口を設置し、薬物依存など当事者の不安解消に努めている。
5.本県の特別支援学校における医療的ケア児への支援とその保護者の負担軽減に関する取組みはどうか。
【医療的ケア児の登下校送迎のための看護師の人材確保や切れ目ない支援体制を】
Q.学校に在籍する医療的ケア児は年々増加傾向にあり、国の調査では特別支援学校における医療的ケア児は、平成22年には7,306人であったが、昨年には8,361人と1,000人以上の増加が見られた。一医療的ケア児の登下校送迎のための看護師の人材確保や切れ目ない支援体制、専門家の配置は、子どもの健やかな成長を図り、その家族の離職を防ぐためにも大変重要であると考える。
看護師等の増員!通学経費補助等に必要となる財政支援の更なる拡充を国に要望
(教育長)
A.県立特別支援学校に在籍し、学校での医療的ケアを受ける児童生徒は61名で、10年前に比べ2.5倍に増加する中、県教育委員会では受け入れる特別支援学校を増加させるとともに、配置看護師も順次増員し、10年前の3校6名から7校23名に拡充するなど受入体制の整備に努めている。
また、医療的ケア手続の入学前実施や保護者からのケア引継ぎの迅速化など、保護者負担の軽減に向けた改善策の検討を進めるとともに、看護師等の増員や通学経費補助等に必要となる財政支援の更なる拡充を全国知事会等を通じて国に要望しており、今後とも、学校における医療的ケアの実施体制の充実に努め、医療的ケア児と保護者が安心できる教育環境の整備に取り組んで参りたい。

6.学校現場の課題解決につながるコミュニティ・スクールの推進に向けた本県の取組みはどうか。
コミスクで地域に開かれた学校は、地域に支えられ、また地域を支える学校に
Q.コミュニティ・スクールとは、学校現場ではコミスクなどの通称で呼ばれ、法律に基づき各学校への設置の努力義務が課されている。設置目的は学校や子どもたちに起こる様々な課題を学校だけではなく、地域全体が当事者意識をもって課題解決に向けて取り組むところにある。

数年を経て公立学校の教員は人事異動によって地域を去るが、地域住民はその後も校区内に住み続けるため、コミスクの仕組みがあれば地域の人々は継続して学校とともに課題に取り組むことができる。コミスクで地域に開かれた学校は、地域に支えられ、また地域を支える学校にもなっていく。
今年度から新たに県独自のコミュニティ・スクールアドバイザーを配置 地域とともにある学校づくりに取り組む市町を積極的に支援
(教育長)
A.県教育委員会では、市町教育委員会や学校、地域の関係者を対象とした研修会を開催し、コミュニティ・スクールの意義や効果、県内外の先進事例等を紹介するとともに、県内市町の優れた取組を集めた事例集を作成し、関係各所への配布やHP掲載などにより広く横展開に努めている。また、令和4年度から国が委嘱したコミュニティ・スクールマイスターを7市町に派遣して効果的な導入方法や人材確保策等を助言しており、この5年間で制度を導入した小中学校が2.2倍の227校となるなど着実な進展をみせている。
さらに今年度からは、新たに県独自のコミュニティ・スクールアドバイザーを配置し、導入促進や拡充を目指す市町への伴走支援にも取り組んでおり、今後とも、地域の意向や実情を踏まえながら、地域と学校が目標や課題を共有し力を合わせて運営を行う、地域とともにある学校づくりに取り組む市町を積極的に支援して参りたい。